景観配慮型アンテナで街の美観を守る

長らく日本のテレビアンテナのスタンダードであった魚の骨形状の「八木アンテナ」ですが、同等の機能を持つデザインアンテナの登場で平面型の壁面に設置するアンテナも普及し始めています。
近年は個人の好みだけではなく行政の景観条例などによって、アンテナ設置の高さを制限される地域もあります。特に観光地や景観指定区域では、市区町村が条例によって景観についての規制を行っているため、屋根にテレビアンテナを設置できない事があります。
自治体によってその内容は異なりますが、景観に影響を与える建築物には高さ・色など、外観について細かく規制されています。テレビアンテナやビル、マンション、駅などに設置された携帯の基地局アンテナなどは、外観の一部として規制対象にしている自治体も多いのです。
例えば、静岡県では「富士山が見える風景」を重要視している市町村が多く、県内の18市町が全域を景観指定区域としています。観光地というだけでなく、こういった景観を守るための区域として広域に渡り規制されている場所もあるのです。

デザインアンテナ、ステルスアンテナ、多様化するアンテナ

通常テレビアンテナは屋根の上に設置しますが、いわゆるデザインアンテナと呼ばれている製品は、長方形のボックス型で壁面やベランダに取り付けるものが主流です。その形状からフラットアンテナとも呼ばれます。
また、雨どいにアンテナが一体化した筒形のステルスアンテナは、一見してテレビアンテナだとは分かりません。
確かに屋根の上にテレビアンテナが並ぶのはミスマッチという、観光地や古い町並みには便利なアイテムです。

まさに景観に溶け込んでいる?忍者型アンテナ

テレビアンテナだけでなく、景観を損なうと設置許可がなかなか降りないのが大型の携帯基地局です。自然の風景に溶け込ませて目立たないよう枝葉をまとい大木のように見えるアンテナや、ログハウス風の収納庫、設置場所が竹林であれば、竹のような節をつけ一見してアンテナとはわからない「擬竹アンテナ」など、自然に擬態するアンテナも多数存在しています。
この樹木の「擬態アンテナ」は日本だけでなく海外でも多く取り入れられ、それぞれのお国や地域に合わせた擬態アンテナがあり、大きな「ヤシの木アンテナ」や「サボテンアンテナ」などユニークなものも多く、景観に配慮したアンテナは世界の中でも様々な工夫がなされています。

需要増加で進化する!携帯基地局アンテナ

スマホユーザーの増加や本格運用が来年に迫る次世代通信で、これまで以上の電波環境を求められる携帯会社は基地局の増設に力を入れています。
そこで登場したのが、日常の風景に溶け込むアンテナです。
その一つ【マンホール型基地局】は、アンテナを地中に穴を掘って設置し、マンホール型の蓋をするというものです。電波の強さは電波法令に則った強さなので、人がその上に乗っても問題はありません。車道に設置して基地局の上に車両が駐車しても破損するわけではありませんが、通信の障害となるため基本的に歩道や私有地に設置します
他には、街灯の中に携帯の基地局を内蔵した【街路灯型アンテナ】があります。
これは海外でも導入しているところもあり、近年では防犯カメラが内蔵された製品も登場しています。
【街路灯型アンテナ】は【スマート街路灯】として進化を続け、街灯+基地局としての役割だけでなく、電光掲示板のようにLEDで文字表示ができる機能や、スピーカー、緊急時の非常通報ボタンを備えているものも開発されています。また、カメラで得られた交通情報や歩行者情報のデータを収集し、スピーカーや文字表示で状況に応じた誘導や案内も可能です。アンテナの進化が未来の街を支える日も、そう遠くはないようですね。